PMS(月経前症候群)の原因
PMSの正確な原因は完全には解明されていませんが、主にホルモンの変動や脳内の神経伝達物質の影響、さらには生活習慣やストレスが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
1. ホルモンバランスの変化
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排卵後(黄体期)には、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に増加します。
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その後、妊娠が成立しない場合、これらのホルモンは急激に減少します。
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このホルモンの乱高下が脳や体に影響を与え、PMSの症状を引き起こします。
▼ エストロゲンの影響
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セロトニン(幸福感や安定感をもたらす神経伝達物質)を増やす作用があります。
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しかし急激に減少すると、気分の落ち込みや不安を感じやすくなります。
▼ プロゲステロンの影響
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体温の上昇やむくみを引き起こします。
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また、GABA(γ-アミノ酪酸)というリラックス作用を持つ神経伝達物質の働きを変化させ、不安やイライラの原因になることがあります。
2. 脳内神経伝達物質の関与
特に以下の神経伝達物質が影響を受けやすいと考えられています。
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セロトニン:
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エストロゲンの減少により分泌量が低下。
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気分の落ち込みや不安感、過食を引き起こします。
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ドーパミン:
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快楽や意欲に関わる物質で、分泌の変動が感情の不安定さや集中力低下に関係します。
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GABA:
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神経の興奮を抑える役割を持つため、減少すると不安や緊張を感じやすくなります。
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3. 自律神経の乱れ
ホルモンの変動は自律神経にも影響します。
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自律神経のバランスが崩れることで、頭痛や胃腸の不調、冷えなどの身体症状が現れます。
4. 栄養バランスや生活習慣
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ビタミンB6やカルシウム、マグネシウムが不足すると、神経伝達物質の生成が滞り、症状が悪化します。
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カフェインやアルコールの過剰摂取は神経を刺激し、イライラや不眠を引き起こします。
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運動不足や睡眠不足も、ホルモンバランスや自律神経に悪影響を及ぼします。
5. ストレスと心理的要因
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ストレスはコルチゾールというホルモンを増加させ、ホルモンバランスをさらに崩します。
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ストレスによってセロトニンの分泌も低下し、情緒不安定や過食を引き起こしやすくなります。
まとめ
PMSは以下の要因が複雑に絡み合って発症します。
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ホルモンバランスの急激な変化
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神経伝達物質の乱れ
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自律神経の不調
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栄養不足や生活習慣の乱れ
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ストレスや心理的要因
症状が重い場合や日常生活に支障をきたす場合は、婦人科での診察や、ホルモン治療、漢方薬、カウンセリングなどの対策を検討するのがおすすめです。