ED(勃起不全)の身体的要因は、血管や神経、ホルモンの異常が関係することが多く、以下のように分類されます。
1. 血管性の原因
勃起は血液が陰茎の海綿体に流入し、十分な血流が維持されることで起こります。血管に異常があると、十分な血液が供給されず、勃起が困難になります。
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動脈硬化
動脈が硬くなり、血流が悪化することで勃起不全を引き起こします。高血圧、糖尿病、脂質異常症が主な原因です。 -
高血圧
血管に負担がかかり、血流が制限されるため、陰茎への血流も減少します。 -
糖尿病
血管の内壁が損傷を受けやすくなり、血流障害を引き起こします。さらに神経障害も併発しやすいため、EDのリスクが高まります。 -
心血管疾患
心筋梗塞や脳卒中の既往がある人は、陰茎の血管にも動脈硬化が進行している可能性があります。
2. 神経性の原因
勃起は神経の指令によって血管が拡張し、血流が増加することで起こります。神経に障害が生じると、脳からの指令が伝わらなくなります。
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脊髄損傷
下半身の神経が損傷されると、勃起機能が低下します。 -
糖尿病性神経障害
糖尿病の進行によって末梢神経が損傷し、感覚や運動機能に影響を与えます。 -
骨盤手術や放射線治療
前立腺がんや直腸がんの手術で神経が損傷することがあります。
3. ホルモン性の原因
勃起には男性ホルモン(テストステロン)が重要な役割を果たします。ホルモンの異常があると、性欲や勃起機能が低下します。
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低テストステロン症(LOH症候群)
加齢や生活習慣の乱れにより、テストステロンの分泌が減少します。 -
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンの過剰や不足は、性機能に影響を与えることがあります。 -
高プロラクチン血症
下垂体腫瘍などでプロラクチンが過剰に分泌されると、テストステロンが低下しEDを引き起こします。
4. 薬剤性の原因
一部の薬剤は副作用として勃起不全を引き起こします。
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降圧薬(β遮断薬、利尿薬など)
血圧を下げることで血流が抑制され、EDのリスクが高まります。 -
抗うつ薬や抗精神病薬
神経伝達物質の働きを抑制することで、性欲や勃起に影響を与えます。 -
前立腺治療薬
前立腺肥大症の治療に使われる薬剤は、性機能に影響を及ぼすことがあります。
5. その他の身体的要因
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肥満
肥満はテストステロンの分泌低下や動脈硬化を引き起こしやすく、EDのリスクを高めます。 -
喫煙
ニコチンは血管を収縮させるため、血流が悪化します。 -
過度の飲酒
アルコールは神経機能を抑制し、性機能障害を引き起こします。
まとめ
EDの身体的要因は多岐にわたります。特に血管や神経、ホルモンの異常が複雑に関与しているため、原因を特定するためには医師の診断が重要です。生活習慣の改善や基礎疾患の治療に加え、必要に応じて薬物療法やカウンセリングを併用することで、多くの方が改善を実感しています。