薬物療法(PDE5阻害薬)とは
ED(勃起不全)の治療に最も広く使用されているのが、PDE5阻害薬と呼ばれる薬です。代表的なものとして、以下の3種類があります。
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バイアグラ(シルデナフィル)
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シアリス(タダラフィル)
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レビトラ(バルデナフィル)
これらは血流を改善し、陰茎への血液供給を増やすことで勃起をサポートします。
PDE5阻害薬の作用機序
PDE5阻害薬は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)という酵素の働きを阻害します。
作用の流れ
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性的刺激を受けると、体内で一酸化窒素(NO)が放出されます。
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NOはcGMP(環状グアノシン一リン酸)という物質を増加させ、血管を拡張します。
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PDE5はこのcGMPを分解する酵素ですが、PDE5阻害薬はその働きを抑えます。
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その結果、血管が広がり、陰茎に十分な血流が供給され、勃起が促進されます。
注意点
PDE5阻害薬は、性的刺激がないと効果を発揮しません。 単に服用するだけでは勃起は起こりません。
主要なPDE5阻害薬の特徴比較
特徴 | バイアグラ(シルデナフィル) | シアリス(タダラフィル) | レビトラ(バルデナフィル) |
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効果発現時間 | 30〜60分 | 60分 | 30〜60分 |
持続時間 | 4〜6時間 | 最大36時間 | 5〜10時間 |
食事の影響 | 受けやすい | 受けにくい | 受けにくい |
アルコール | 控えめが推奨 | 適量であれば可能 | 控えめが推奨 |
適応症 | ED | ED・前立腺肥大症 | ED |
補足
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バイアグラは即効性がありますが、脂っこい食事と併用すると効果が弱まることがあります。
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シアリスは持続時間が長く、週末薬とも呼ばれることがあります。自然な流れで性行為を楽しみたい方に向いています。
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レビトラは食事の影響を受けにくく、糖尿病や高血圧の方にも使用されることが多いです。
服用方法と注意点
服用方法
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性行為の30分〜1時間前に服用します。
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1日1回までの服用とし、24時間以上の間隔を空ける必要があります。
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水と一緒に服用するのが基本です。
注意点
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グレープフルーツは薬の代謝を阻害し、副作用が強く出る可能性があるため避けましょう。
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硝酸薬(ニトログリセリンなど)を服用している方は、血圧が急激に低下する危険性があるため併用は禁忌です。
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心疾患や低血圧の既往がある方は、医師の指示に従って服用を検討してください。
副作用
PDE5阻害薬にはいくつかの副作用がありますが、ほとんどの場合は軽度で一時的です。
主な副作用
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ほてり・顔の紅潮
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頭痛
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鼻づまり
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消化不良・胃の不快感
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視覚異常(まれに青みがかって見える)
重篤な副作用(非常にまれ)
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血圧低下
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心筋梗塞や脳卒中
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持続性勃起症(4時間以上続く場合)
症状が続く場合はすぐに医療機関を受診してください。
こんな方におすすめ
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バイアグラ:
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初めてPDE5阻害薬を試したい方
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即効性を重視する方
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シアリス:
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自然なタイミングで性行為を楽しみたい方
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前立腺肥大症の治療も併用したい方
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レビトラ:
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食事の影響を気にせず服用したい方
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糖尿病など基礎疾患がある方
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まとめ
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PDE5阻害薬はED治療の第一選択薬として多くの方に使用されています。
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シルデナフィル(バイアグラ)は即効性、タダラフィル(シアリス)は持続性、バルデナフィル(レビトラ)は食事の影響を受けにくいなど、特性を考慮して選びましょう。
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適切な使用と医師の指導のもと、安全に服用することが重要です。
もし気になることや、具体的な服用の相談があれば、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。