日本で許可されている低用量ピル、中容量ピル、高容量ピルの具体的な処方薬名について解説します。各ピルの特徴や用途を踏まえて、どのような薬が使用されているかを説明します。
低用量ピル
低用量ピルは、エストロゲン(エチニルエストラジオール)を少量含んでおり、主に避妊や月経不順の改善に使用されます。日本で許可されている低用量ピルは以下の通りです。
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ヤーズ(YAZ)
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成分:エチニルエストラジオール(0.02mg)、ドロスピレノン(3mg)
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特徴:低用量でありながら、避妊効果が高く、月経前症候群(PMS)の症状や月経痛を軽減する効果がある。ドロスピレノンは、抗ミネラルコルチコイド作用を持つため、体重増加やむくみの予防にも有効とされています。
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用途:避妊、月経不順の改善、PMSや月経痛の軽減。
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マーベロン(Marvelon)
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成分:エチニルエストラジオール(0.03mg)、デソゲストレル(0.15mg)
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特徴:エストロゲンとプロゲスチン(デソゲストレル)を含み、避妊効果が高い。比較的副作用が少なく、長期間使用しても安定した効果を期待できる。
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用途:避妊、月経不順やPMSの改善。
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ファボワール(Favora)
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成分:エチニルエストラジオール(0.03mg)、レボノルゲストレル(0.15mg)
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特徴:比較的低用量のエストロゲンを含み、長期間の服用が可能であるため、避妊目的で広く使用されている。
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用途:避妊、月経不順の治療。
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中容量ピル
中容量ピルは、エストロゲンの含量が中程度で、避妊効果とともに月経痛やPMSの改善にも使用されます。日本では、以下の薬が中容量ピルとして処方されます。
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トリキュラー(Triquilar)
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成分:エチニルエストラジオール(0.03mg)、ノルエチステロン(0.15mg)
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特徴:エストロゲンとプロゲスチンのバランスが良好で、生理不順や月経痛を軽減し、避妊効果も高い。
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用途:避妊、月経痛、PMSの治療。
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オーソエストロゲン(Ortho-Estradiol)
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成分:エストラジオール(0.05mg)、ノルエチステロン(0.5mg)
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特徴:エストロゲンの含有量が若干高めのため、月経痛や生理不順の改善に効果的。避妊効果とともに肌荒れやニキビにも改善が見られることがあります。
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用途:避妊、月経不順、ニキビや肌荒れの改善。
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高容量ピル
高容量ピルは、エストロゲンの量が高く、主に治療的な目的で使用されることが多いです。日本で認可されている高容量ピルは以下の通りです。
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ルナベル(Lunabel)
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成分:エチニルエストラジオール(0.05mg)、ノルエチステロン(0.75mg)
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特徴:高容量のエストロゲンを含むため、月経不順や月経過多に対する効果が強い。生理不順や子宮内膜症、過剰な月経出血の改善に使用されます。
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用途:月経過多、月経不順、子宮内膜症の治療、ホルモン補充療法。
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パントル(Pantrol)
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成分:エチニルエストラジオール(0.05mg)、ノルエチステロン(1mg)
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特徴:エストロゲンとプロゲステロンの比率が高く、特に月経過多や子宮内膜症の治療に使用されることが多い。
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用途:月経過多、子宮内膜症、月経不順の治療。
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まとめ
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低用量ピル(ヤーズ、マーベロン、ファボワール)は主に避妊や月経不順の改善に使用され、副作用が少ないことが特徴です。
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中容量ピル(トリキュラー、オーソエストロゲン)は、避妊効果に加えて月経痛やPMSの改善にも効果があります。
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高容量ピル(ルナベル、パントル)は治療目的で使用され、月経過多や子宮内膜症などの症状に対して高い効果を発揮します。
これらのピルは、医師の診断と処方に基づいて使用することが重要です。副作用や適応症についても医師とよく相談し、自分に合ったピルを選ぶことが大切です。