内臓脂肪型肥満(りんご型肥満)とは、脂肪が主にお腹の内臓周りに蓄積されるタイプの肥満です。このタイプの肥満は、腹部が膨らんで、見た目が「りんご」のような形をしていることから「りんご型肥満」と呼ばれています。内臓脂肪は皮膚の下ではなく、内臓の周りに蓄積されるため、体の外見では比較的痩せて見えることもありますが、内部に脂肪がたまっている状態です。
特徴
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お腹周りの脂肪
- 腹部(特におへその周り)に脂肪がつきやすく、内臓脂肪が蓄積されます。
- 体重が増加すると、腹部が膨らみ、見た目にも「ぽっこりお腹」が目立つようになります。
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男性に多い
- 内臓脂肪型肥満は、男性に多く見られますが、女性でも閉経後にホルモンバランスが変化することにより、内臓脂肪が増えることがあります。
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脂肪の場所
- 内臓脂肪は、胃や腸、大腸、肝臓、腎臓などの内臓の周りに蓄積されます。これが原因で、お腹が大きく見えます。
内臓脂肪型肥満の健康リスク
内臓脂肪は、皮下脂肪と異なり、ホルモンや酵素を分泌するため、健康に悪影響を及ぼすことがあります。特に以下のリスクがあります:
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糖尿病
内臓脂肪は、インスリンの効き目を悪くし、インスリン抵抗性を引き起こすため、2型糖尿病のリスクが高くなります。 -
高血圧
内臓脂肪から分泌される物質が血圧を上昇させ、動脈硬化を引き起こすことがあります。 -
脂質異常症
内臓脂肪の蓄積は、血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスを崩し、脂質異常症を引き起こす原因となります。 -
心血管疾患
糖尿病や高血圧、脂質異常症が引き起こす血管への負担が心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を引き起こすリスクを高めます。 -
睡眠時無呼吸症候群
内臓脂肪が増えることで、横になったときに気道が圧迫されやすく、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。 -
肝臓疾患
内臓脂肪が肝臓に蓄積されることで、脂肪肝や肝炎、さらには肝硬変に進行する可能性があります。
内臓脂肪型肥満の診断方法
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腹囲測定
腹囲(お腹周りのサイズ)は、内臓脂肪の蓄積量を示す指標として使われます。日本人の場合、男性は85cm、女性は90cm以上が内臓脂肪型肥満とされています。 -
CTスキャンやMRI
腹部の脂肪を正確に測定するために、CTスキャンやMRIを使用することがありますが、これらは一般的な診断には用いられません。 -
BMI(Body Mass Index)
BMIは体重と身長から算出される指数で、内臓脂肪型肥満の診断にも用いられますが、内臓脂肪の蓄積具合を直接測るわけではありません。
内臓脂肪型肥満の改善方法
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食事の改善
- バランスの取れた食事:野菜や果物、全粒穀物を中心に、脂肪分の少ない肉や魚を摂取することが推奨されます。
- 糖質制限:特に白米やパン、砂糖の摂取を控えることが有効です。
- 食物繊維の摂取:食物繊維が豊富な食品(野菜、豆類、全粒穀物など)を摂取することで、内臓脂肪の蓄積を抑制できます。
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運動
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、内臓脂肪を減らすために最も効果的な運動です。
- 筋力トレーニングも、基礎代謝を上げるために有効です。
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生活習慣の改善
- 十分な睡眠:睡眠不足は内臓脂肪の蓄積を促進する可能性があるため、7~8時間の質の良い睡眠が重要です。
- ストレス管理:ストレスが溜まると、過食や不規則な食生活を引き起こし、内臓脂肪が増えることがあります。リラックスする時間を作ることが大切です。
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医療的介入
- 薬物療法:内臓脂肪を減少させる薬(例えば、GLP-1受容体作動薬など)が使用されることがあります。
- 外科的介入:極端な肥満の場合、減量手術(バイパス手術やスリーブ状胃切除など)が検討されることがあります。
内臓脂肪型肥満は、見た目以上に健康に悪影響を及ぼすことが多いため、早期に改善策を講じることが重要です。