皮下脂肪型肥満(洋なし型肥満)は、脂肪が主に体の下半身、特にお尻や太もも、腹部の皮膚の下に蓄積されるタイプの肥満です。このタイプの肥満は、見た目が「洋なし」のような形をしていることから「洋なし型肥満」と呼ばれています。皮下脂肪型肥満は、内臓脂肪型肥満(りんご型肥満)とは異なり、内臓の周りではなく、皮膚の下に脂肪がつきやすい特徴があります。
特徴
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下半身に脂肪がつきやすい
- お尻や太もも、腰回りに脂肪が集中し、体重が増えると下半身が丸くなることが特徴です。上半身は比較的細く、いわゆる「洋なし型」の体型になります。
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女性に多い
- 皮下脂肪型肥満は、特に女性に多く見られる傾向があります。女性は男性に比べて、エストロゲンというホルモンの影響で、下半身に脂肪がつきやすい特徴があります。
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皮下脂肪の蓄積
- 皮膚のすぐ下に脂肪が蓄積されるため、見た目にはふっくらとした外観になります。皮下脂肪は、内臓脂肪に比べて比較的健康へのリスクは低いとされていますが、過剰に蓄積されると健康に影響を与えることもあります。
皮下脂肪型肥満の健康リスク
皮下脂肪型肥満は、内臓脂肪型肥満と比べて、直接的な生活習慣病のリスクは低いとされていますが、以下のようなリスクがあります:
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関節の負担
- 下半身に脂肪がつくと、膝や股関節などの関節に負担がかかり、関節痛や関節疾患(膝関節症など)が起こりやすくなります。
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血行不良
- 下半身に脂肪が集中すると、血行が悪くなることがあり、むくみや冷え性が引き起こされることがあります。特に、座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事をしていると、血行不良を悪化させることがあります。
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脂肪細胞の炎症
- 皮下脂肪の蓄積が過剰になると、脂肪細胞が炎症を引き起こし、その結果、インスリン抵抗性が高まったり、脂質異常症や高血圧を引き起こすことがあります。これにより、動脈硬化などの心血管疾患のリスクが増加する可能性もあります。
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見た目の影響
- 下半身に脂肪が多くつくと、体型に影響を与え、スタイルが悪く見えることがあります。これが心理的なストレスや自己評価に影響を与えることがあります。
皮下脂肪型肥満の診断方法
皮下脂肪型肥満は、内臓脂肪型肥満ほど直ちに健康リスクを引き起こすわけではないため、診断は主に体脂肪率や見た目で判断されます:
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体脂肪率の測定
- 体脂肪率は、体全体の脂肪の割合を示す指標であり、皮下脂肪が多い場合、体脂肪率が高くなります。男性では体脂肪率が20%以上、女性では30%以上の場合、肥満とされることがあります。
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BMI(Body Mass Index)
- BMIが25以上の場合は肥満とされますが、BMIだけでは皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の区別は難しいため、腹囲の測定や体脂肪率の測定が補助的に使われます。
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ウエストヒップ比(WHR)
- 体の周囲の寸法を測定する方法で、ウエストとヒップの比率が高い場合、内臓脂肪型肥満の可能性が高いですが、逆にウエストよりヒップが大きい場合は皮下脂肪型肥満と考えられます。
皮下脂肪型肥満の改善方法
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食事の改善
- バランスの取れた食事:野菜、果物、全粒穀物、脂肪分が少ない肉や魚を摂取し、糖質や脂質の摂取を控えることが推奨されます。
- 適切なカロリー摂取:過剰なカロリー摂取を避け、適切な量の食事を心がけます。
- 食物繊維の摂取:食物繊維が豊富な食品(野菜、豆類、全粒穀物)を摂取することが、皮下脂肪の減少に役立ちます。
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運動
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を行うことで、脂肪を燃焼させることができます。
- 筋力トレーニングも筋肉量を増やし、基礎代謝を向上させるために効果的です。
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生活習慣の改善
- 十分な睡眠:睡眠不足が脂肪の蓄積を助長するため、質の良い睡眠を確保することが大切です。
- ストレス管理:過食や不規則な生活を防ぐために、ストレスを適切に管理することが重要です。
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脂肪吸引手術や非侵襲的治療
- 皮下脂肪が非常に多く、ダイエットや運動で減らしきれない場合、脂肪吸引や非侵襲的な治療(冷却による脂肪減少など)が選択肢となることがあります。
まとめ
皮下脂肪型肥満は、内臓脂肪型肥満に比べて健康リスクは比較的低いものの、過剰な脂肪の蓄積は関節や血行に負担をかけるため、注意が必要です。食事や運動、生活習慣の改善を通じて、健康的な体型を維持することが重要です。