いびきは、空気の通り道(気道)が狭くなり、呼吸のたびに周囲の組織が振動して発生する音です。いびきの原因は 身体的要因 や 生活習慣、 疾患 など、多岐にわたります。
1. 解剖学的な要因
(1) 気道の狭窄
- 扁桃肥大:特に子供や肥満の方に多く、喉の奥の扁桃が大きくなることで気道が狭まります。
- 舌の肥大:舌が大きいと仰向けに寝た際に気道を塞ぎやすくなります。
- 軟口蓋・口蓋垂の肥大:のどちんこ(口蓋垂)が肥大すると振動しやすくなります。
- 鼻中隔湾曲症:鼻の仕切りが曲がっていると、鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸によるいびきが起こりやすくなります。
(2) 筋肉の緩み
- 加齢:加齢とともに喉や舌の筋肉が衰え、気道が塞がれやすくなります。
- 睡眠中の筋弛緩:眠りが深くなるほど、喉や舌の筋肉が緩み、気道が狭くなります。
- アルコールや睡眠薬の影響:筋肉の緊張を低下させるため、いびきを悪化させることがあります。
2. 生活習慣・環境要因
(1) 肥満
- 首周りの脂肪が増えると、喉を圧迫して気道を狭くします。特にBMIが高い人はリスクが高まります。
(2) 喫煙
- 喫煙により喉の粘膜が炎症を起こし、腫れることで気道が狭くなります。
(3) アルコール・薬剤
- アルコールは喉の筋肉を弛緩させ、気道閉塞を引き起こしやすくします。
- 睡眠薬や抗不安薬も同様の作用があります。
(4) 姿勢
- 仰向けで寝ると、舌が重力で喉の奥に落ち込みやすくなり、気道をふさぎます。
3. 疾患による原因
(1) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 重度のいびきとともに、睡眠中に呼吸が止まる病気です。
- 酸素不足により、高血圧や心疾患のリスクが高まります。
(2) アレルギー性鼻炎・鼻づまり
- 鼻呼吸が困難になると、口呼吸に頼るようになり、いびきの原因になります。
(3) 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
- 副鼻腔に膿が溜まり、鼻づまりが長期間続くことでいびきが発生します。
(4) 下顎後退症(小顎症)
- 顎が小さいと、舌が後方に押し込まれて気道をふさぎやすくなります。
4. 子供のいびきの原因
- アデノイド肥大:鼻の奥にあるリンパ組織が肥大し、鼻呼吸を妨げることがあります。
- 扁桃肥大:幼少期は特に扁桃が大きくなりやすく、いびきの原因になります。
- 鼻炎や風邪:一時的に鼻詰まりが起き、いびきをかくことがあります。
まとめ
いびきの主な原因は以下のように分類できます。
- 気道の狭窄(肥満、扁桃肥大、鼻中隔湾曲症)
- 筋肉の緩み(加齢、アルコール、薬剤)
- 生活習慣(喫煙、飲酒、仰向け寝)
- 疾患(睡眠時無呼吸症候群、鼻炎、副鼻腔炎)
いびきが続く場合や、日中の強い眠気や集中力低下がある場合は、医療機関への相談をおすすめします。