閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とは?
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA: Obstructive Sleep Apnea)は、睡眠中に気道が一時的に閉塞し、呼吸が止まるまたは浅くなる病気です。これにより、睡眠の質が低下し、酸素の供給不足が続きます。OSAは、昼間の眠気や疲労感を引き起こし、放置すると高血圧、心疾患、脳卒中などの健康リスクが高まります。
OSAの仕組み
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気道の閉塞
- 睡眠中に舌や軟口蓋(のどの奥の筋肉)が弛緩し、気道が一時的に閉塞します。
- 呼吸が止まることで、酸素の供給が不十分になります。
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無呼吸の発生
- 呼吸が止まる状態(無呼吸)が数秒から数分続きます。
- 脳が酸素不足を感知し、目が覚めることがあります。
- この過程が一晩に何度も繰り返されます。
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睡眠の質の低下
- 目が覚めても完全に覚醒しないため、深い眠りに入ることができません。
- 睡眠のリズムが乱れ、日中の眠気や集中力低下が引き起こされます。
主な症状
- いびき:特に大きないびきや、いびきが途切れた後に息が戻る音。
- 無呼吸の症状:家族や同居者が気づくことが多いです。
- 日中の眠気:昼間に強い眠気を感じる、集中力が低下する。
- 起床時の頭痛:酸素不足によって血流が不安定になり、頭痛が起こることがあります。
- 喉の痛みや乾燥:口呼吸が続くことによる症状。
- 集中力や記憶力の低下:睡眠の質が悪化し、脳の働きが低下します。
OSAの原因
1. 肥満
- 首回りの脂肪が気道を圧迫しやすく、気道が閉塞しやすくなります。
2. 解剖学的な問題
- 扁桃腺や舌が肥大している場合、気道が狭くなります。
- 鼻の疾患(鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎)も気道の狭窄を引き起こします。
3. 加齢
- 加齢により、喉の筋肉や舌の筋肉が弛緩しやすくなり、気道が閉塞しやすくなります。
4. 男性
- 男性は女性よりもOSAのリスクが高いとされています。
- ホルモンの影響や、首回りの脂肪分布が関与しています。
5. 遺伝
- 家族にOSA患者が多い場合、遺伝的要素も関係することがあります。
OSAの診断方法
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問診
- いびきや睡眠時の症状について医師に相談します。
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睡眠ポリグラフ検査(PSG)
- 一晩の睡眠中に呼吸、心拍数、脳波、筋肉の活動などを測定し、無呼吸の回数や程度を調べます。
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家庭用睡眠検査
- 自宅で簡易的に呼吸をチェックする装置を使って、無呼吸の状態を調べます。
OSAの治療法
1. 生活習慣の改善
- 減量:肥満が原因の場合、体重を減らすことで症状が改善することがあります。
- 禁酒・禁煙:アルコールやタバコが気道を圧迫し、症状を悪化させます。
- 睡眠姿勢の工夫:仰向け寝を避け、横向きに寝ることが推奨されます。
2. CPAP療法
- *CPAP(シーパップ)は、最も効果的な治療法で、睡眠中に空気を送ることで気道を開放します。
- マスクを装着して寝ることで、無呼吸やいびきを防ぎます。
3. マウスピース療法
- 下顎を前に出すことで、気道を広げる装置です。
- 軽度のOSAに適しており、歯科医院で作成することができます。
4. 外科的治療
- 扁桃や軟口蓋、鼻中隔の手術が検討されることがあります。
- 手術で物理的に気道を広げ、閉塞を防ぐことができます。
OSAの予防法
- 健康的な体重を維持:肥満が原因の場合、体重を減らすことで症状が改善します。
- 禁酒・禁煙:特に寝る前のアルコール摂取を控えることが大切です。
- 良い睡眠環境を作る:静かで暗い寝室を保ち、快適な寝具を使いましょう。
- 定期的に睡眠の質をチェック:気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)**は、放置すると健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早期に治療を受けることが大切です。症状に気づいた場合は、専門医に相談して診断を受けましょう。