食品アレルギー検査(ELISA検査)は、特定の食品に対するアレルギー反応を確認するための血液検査方法です。ELISA(エライザ)とは「Enzyme-Linked Immunosorbent Assay」の略で、酵素免疫測定法と呼ばれる技術を使用して、体内で特定のアレルゲンに対する免疫反応(抗体の反応)を測定します。食品アレルギーに関して、ELISA検査は非常に有用な診断ツールとなっています。
ELISA検査の目的
食品アレルギー検査(ELISA)は、特定の食品に対するアレルギー反応を引き起こす免疫グロブリンE(IgE)抗体を測定することを目的としています。食品アレルギーが疑われる患者に対して行われ、以下の目的に使用されます:
- アレルギー源の特定:特定の食品(例えば、卵、乳製品、小麦、ナッツ、甲殻類など)に対するアレルギー反応を確認する。
- アレルギー診断の補助:食物アレルギーの疑いがある場合に、確定診断を支援する。
- アレルギー反応の程度を測定:アレルゲンに対する感受性や反応の強さを評価する。
ELISA検査の方法
ELISA検査は、血液中の特定の抗体(IgE抗体)を検出することによって行われます。以下のステップで進行します:
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血液サンプルの採取:
- 検査は、腕の静脈から少量の血液を採取して行います。
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血液サンプルの処理:
- 採取した血液を検査機器で処理し、特定の食品に対するIgE抗体の有無とその濃度を測定します。
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抗体の結合:
- 血液中のIgE抗体が、検査プレートに付着した特定のアレルゲンに結びつく反応を促進します。この反応を酵素反応で可視化することで、アレルゲンに対する反応の有無を確認します。
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結果の解析:
- 測定結果は数値として示され、IgE抗体の濃度が高いほど、そのアレルゲンに対するアレルギー反応が強いと判断されます。
- 一般的に、結果は「クラス1」から「クラス6」までの数値(IgE抗体の濃度)で評価され、数値が大きいほどアレルギー反応が強いとされます。
ELISA検査で測定される項目
ELISA検査では、食品アレルギーを引き起こす可能性のある複数のアレルゲンについて、IgE抗体の反応を測定します。一般的に測定される主な食品アレルゲンは以下の通りです:
- 卵(卵白、卵黄)
- 牛乳(乳製品)
- 小麦(小麦粉、グルテン)
- ナッツ(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツなど)
- 甲殻類(エビ、カニなど)
- 魚(サケ、マグロ、サバなど)
- 大豆
- 果物(リンゴ、バナナ、イチゴなど)
- 野菜(トマト、ニンジン、セロリなど)
- カニ・甲殻類
これらのアレルゲンのうち、最も重要で発症頻度が高い食品に対してIgE抗体を測定することができます。
ELISA検査の利点
- 高い特異性と感度:ELISA検査は、非常に高い感度と特異性を持っており、アレルギー反応を引き起こす可能性のある食品を正確に検出することができます。
- 血液検査:皮膚テストとは異なり、血液を使った検査であり、皮膚に傷をつける必要がないため、皮膚の状態に問題がある場合でも行うことができます。
- 定量的な結果:ELISA検査は、アレルギー反応の程度(IgE抗体の濃度)を数値で示すため、アレルギーの重症度を評価することができます。
ELISA検査の欠点
- 結果の解釈には注意が必要:IgE抗体が検出された場合、それが必ずしもアレルギー症状を引き起こすとは限りません。IgE抗体の存在だけでなく、臨床症状や他の検査結果と合わせて総合的に評価することが重要です。
- 偽陽性の可能性:ELISA検査では、他の非特異的な反応が原因で偽陽性が生じる可能性があります。これにより、アレルギーがない場合でも反応が出ることがあります。
- 検査結果が過剰反応を示すことがある:食品アレルギーが実際にはない場合でも、検査で反応が強く出ることがあり、その後の診断に混乱をきたすことがあります。
ELISA検査の適用例
ELISA検査は、以下のような場合に使用されます:
- 食物アレルギーが疑われる場合:例えば、食事後に皮膚のかゆみや喘息、吐き気などの症状が現れる場合に検査が行われます。
- アレルギーの確認と特定:アレルゲンの特定が困難な場合、ELISA検査で特定の食品に対する免疫反応を確認します。
- アレルギー反応の重症度の評価:アレルゲンに対する反応の程度(IgE抗体の濃度)を知ることで、アレルギーのリスクを評価します。
まとめ
ELISA検査は、食品アレルギーを診断するための有効な血液検査方法で、アレルギー反応を引き起こす可能性のある食品に対する免疫反応を調べます。検査は高い感度と特異性を持ち、アレルゲンに対するIgE抗体の存在を測定しますが、その結果は臨床症状と合わせて評価することが重要です。