帯状疱疹(たいじょうほうしん、英:Herpes zoster)とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus, VZV)によって引き起こされる感染症です。このウイルスは、子どもの頃にかかった「水ぼうそう(水痘)」の原因ウイルスと同じで、体内に潜伏感染していたウイルスが再活性化して起こる病気です。
原因と発症の仕組み
- 子どもの頃に水ぼうそうにかかる
- 回復後もウイルスは神経節(脊髄近くの神経細胞)に潜伏
- 加齢・疲労・ストレス・免疫力低下などをきっかけにウイルスが再活性化
- 潜伏していた神経に沿って皮膚へ移動し、帯状に痛みや発疹が出る
発症しやすい人
- 50歳以上の高齢者
- がん、糖尿病、自己免疫疾患のある人
- 抗がん剤・ステロイド・免疫抑制剤などの使用中の人
- 強いストレスや疲労状態の人
主な症状
時期 | 症状 |
---|---|
① 前駆期(1~3日) | 倦怠感、神経の痛み(ピリピリ、ヒリヒリ)、違和感 |
② 発疹期(3~7日) | 発赤、水疱(小さな水ぶくれ)、神経に沿って帯状に現れる |
③ 痂皮期(1〜2週間) | 水疱がかさぶたになり、徐々に治癒 |
④ 回復期(数週間〜数か月) | 一部に痛みが残ることがある(帯状疱疹後神経痛) |
※顔・胸・背中・腰に多く見られます(片側の神経に沿って帯状に出るのが特徴)
合併症
① 帯状疱疹後神経痛(PHN)
- 最も多い合併症
- 発疹が治ったあともピリピリ、ズキズキする慢性的な神経痛が数か月〜数年続くことがある
② 顔面神経麻痺・角膜炎・視力障害(顔面の帯状疱疹時)
- 三叉神経・顔面神経が障害されると、ラムゼイ・ハント症候群に進行することも
③ 細菌感染の合併(発疹をかきこわすことで起こる)
治療
種類 | 具体例 | 内容 |
---|---|---|
抗ウイルス薬 | バラシクロビル(バルトレックス®)、アシクロビル(ゾビラックス®)、ファムシクロビル(ファムビル®) | 発症から72時間以内に投与開始が理想。ウイルスの増殖を抑える。 |
鎮痛薬 | ロキソプロフェン、アセトアミノフェン | 痛みを抑える。神経痛に対しては別途対応が必要。 |
神経障害性疼痛薬 | プレガバリン、ガバペンチン、三環系抗うつ薬、SNRIなど | 帯状疱疹後神経痛のリスクを減らす or 治療する。 |
外用薬 | リドカインテープ、カプサイシン軟膏 | 局所の痛みに効果あり。 |
予防(ワクチン)
種類 | シングリックス®(不活化ワクチン) |
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対象 | 50歳以上の健康な人、または18歳以上の免疫不全者 |
回数 | 2回接種(2か月間隔) |
効果 | 発症予防効果 90%以上(PHNの予防にも効果あり) |
まとめ:帯状疱疹のポイント
項目 | ポイント |
---|---|
発症原因 | 水痘ウイルスの再活性化 |
発症部位 | 片側の神経に沿った帯状の発疹 |
治療 | 72時間以内の抗ウイルス薬+痛み対策 |
合併症 | 神経痛・顔面麻痺・視力障害など |
予防 | 50歳以上はワクチン接種推奨 |
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