「-vir」は、抗ウイルス薬に共通して用いられる国際一般名(INN)の接尾語です。ウイルスの複製や感染を阻害する薬で、ウイルスの種類(HIV、ヘルペス、C型肝炎、インフルエンザ、コロナウイルスなど)によって異なる作用機序を持ちます。
「-vir」とは?
項目 |
内容 |
接尾語(suffix) |
-vir |
分類 |
抗ウイルス薬 |
主な適応 |
HIV、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペスウイルス、RSウイルス、インフルエンザ、SARS-CoV-2など |
代表的な「-vir」薬剤と分類
1. HIV治療薬
一般名 |
商品名 |
作用機序 |
エファビレンツ(efavirenz) |
ストックリン等 |
非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI) |
ラルテグラビル(raltegravir) |
イズントレス |
インテグラーゼ阻害薬 |
ダルナビル(darunavir) |
プリジスタ |
プロテアーゼ阻害薬(PI) |
2. ヘルペス・水痘ウイルス系
一般名 |
商品名 |
作用機序 |
アシクロビル(acyclovir) |
ゾビラックス |
DNAポリメラーゼ阻害(ヌクレオシド類似体) |
バラシクロビル(valacyclovir) |
バルトレックス |
アシクロビルのプロドラッグ |
ファムシクロビル(famciclovir) |
ファムビル |
ペンシクロビルのプロドラッグ |
3. C型肝炎ウイルス(HCV)
一般名 |
商品名 |
作用機序 |
ソホスブビル(sofosbuvir) |
ソバルディ |
NS5Bポリメラーゼ阻害薬 |
レジパスビル/ソホスブビル |
ハーボニー |
NS5A阻害薬 + NS5B阻害薬の合剤 |
グレカプレビル / ピブレンタスビル |
マヴィレット |
プロテアーゼ阻害薬 + NS5A阻害薬 |
4. インフルエンザウイルス
一般名 |
商品名 |
作用機序 |
オセルタミビル(oseltamivir) |
タミフル |
ノイラミニダーゼ阻害薬 |
ザナミビル(zanamivir) |
リレンザ |
吸入型ノイラミニダーゼ阻害薬 |
バロキサビル(baloxavir) |
ゾフルーザ |
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(新機序) |
5. COVID-19(SARS-CoV-2)
一般名 |
商品名 |
作用機序 |
レムデシビル(remdesivir) |
ベクルリー |
RNAポリメラーゼ阻害薬 |
ニルマトレルビル/リトナビル |
パキロビッド |
プロテアーゼ阻害薬とCYP3A阻害薬の合剤 |
特徴と注意点
項目 |
内容 |
標的特異性 |
ウイルスごとに異なる標的(逆転写酵素、プロテアーゼ、ポリメラーゼなど)を選択的に阻害 |
耐性リスク |
単剤では耐性ウイルスが出やすいため、併用療法が原則(特にHIV、HCV) |
副作用 |
肝障害、腎障害、中枢神経症状など。薬剤ごとに異なるためモニタリングが必要 |
相互作用 |
リトナビルなどのCYP阻害薬併用で血中濃度変動が大きい場合あり |
まとめ
「-vir」 は抗ウイルス薬に共通する接尾語で、作用機序や適応ウイルスの種類によってさまざまなサブグループがあります。抗ウイルス薬は標的が明確である反面、耐性や相互作用の管理が非常に重要です。
投稿 ビル は メプラス - MEPLUS に最初に表示されました。