歯髄炎とは?
歯髄炎(しずいえん) は、歯の内部にある 歯髄(しずい)=神経や血管の集まり に 細菌が感染・炎症を起こした状態 を指します。
歯髄は 象牙質の内側 にあるやわらかい組織で、痛みを感じる神経や栄養を供給する血管が集中しているため、炎症が起こると 非常に強い痛み を伴います。
原因
主な原因は、以下のように歯の内部に細菌が侵入することです:
- 虫歯の進行(C3以降)
- 深い虫歯が神経まで達して感染する
- 歯の外傷
- 打撲や破折により歯髄が露出・炎症
- 歯科処置の刺激
- 深い詰め物や削りすぎによる刺激(処置性歯髄炎)
歯髄炎の分類
歯髄炎は 可逆性 と 不可逆性 に分類されます。
分類 | 状態 | 症状 | 治療法 |
---|---|---|---|
可逆性歯髄炎 | 軽度な炎症で自然回復が可能 | 一時的な刺激痛(冷たい物でしみる) | 詰め物で保存可能 |
不可逆性歯髄炎 | 炎症が強く、治癒不能 | 自発痛・夜間痛・拍動痛 | 根管治療が必要 |
症状
主な症状
- 冷たい物や熱い物で痛む(しみる)
- 何もしなくてもズキズキ痛む(自発痛)
- 夜眠れないほどの痛み
- 痛みが拍動性(ドクンドクン)
- 痛みが長く続く(10秒以上)
- 鎮痛剤が効かなくなることもある
診断方法
- 問診と自覚症状
- 打診(叩いたときの痛み)
- 冷温テスト(アイスや温水を用いる)
- 電気歯髄診(電気で反応を見る)
- X線検査(歯根や周囲の骨の状態)
治療法
段階 | 治療内容 |
---|---|
可逆性歯髄炎 | 虫歯を削り、詰め物で処置(歯髄は保存) |
不可逆性歯髄炎 | 根管治療(神経を除去) → 無菌化 → 薬剤封入 → 最終的に被せ物(クラウン) |
重症化・膿が出る | 根管治療が困難な場合は抜歯の可能性も |
放置するとどうなる?
歯髄炎を放置すると、次のように進行します:
- 歯髄壊死(神経が死ぬ)
- 根尖性歯周炎(根の先に膿がたまる)
- 歯根嚢胞(慢性の膿の袋)
- 歯性感染症 → 顔面腫脹・発熱・蜂窩織炎(重症)
最悪の場合、顎骨炎や敗血症に至ることもあります。
予防法
- 虫歯の早期発見・治療
- 定期的な歯科健診(年2~4回)
- 正しいブラッシングとフロスの使用
- 詰め物や被せ物の劣化チェック
- 歯を強く打ったときはすぐ受診
よくあるQ&A
Q. 神経を取ると歯はどうなる?
A. 痛みは消えますが、歯は栄養供給を失い「もろく」なります。最終的にはクラウン(被せ物)で補強する必要があります。
Q. 神経を残せるかどうかはどう判断?
A. 症状・診断テスト・X線画像から判断します。痛みが強く持続する場合は保存は難しいです。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
病名 | 歯髄炎(しずいえん) |
原因 | 虫歯の進行、外傷、処置の刺激 |
症状 | 強い痛み、自発痛、拍動痛 |
治療 | 可逆性なら保存、不可逆性は根管治療 |
予防 | 虫歯の早期治療と適切なケア |
投稿 歯髄炎 は メプラス - MEPLUS に最初に表示されました。