口臭の原因は、大きく生理的原因、口腔内の原因、全身的な原因、食生活・嗜好品に分類できます。
1. 生理的原因
① 朝起きたときの口臭
- 原因: 就寝中は唾液の分泌が減少し、口腔内の細菌が増殖します。これにより揮発性硫黄化合物(VSC)が発生し、口臭が強くなります。
② 空腹時やダイエット中の口臭
- 原因: 食事を摂らないことで唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖します。また、脂肪をエネルギーとして分解する過程で生じるケトン体が、独特のにおいを発生させます。
③ 緊張やストレス時の口臭
- 原因: 自律神経の影響で唾液の分泌が抑制され、口腔内が乾燥します。その結果、口臭が発生しやすくなります。
2. 口腔内の原因
口臭の80~90%は、口腔内の問題が原因です。
① 歯周病
- 原因: 歯周病菌が歯周ポケット内で繁殖し、硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質を生成します。
② 虫歯
- 原因: 虫歯の穴に食べかすが溜まり、細菌が繁殖して悪臭を発生させます。
③ 舌苔(ぜったい)
- 原因: 舌の表面に細菌や食べかす、剥がれた粘膜などが付着し、悪臭物質を発生します。
④ 口腔乾燥(ドライマウス)
- 原因: 唾液の分泌量が少なくなることで、細菌が増殖しやすくなります。
3. 全身的な原因
口臭の約10~20%は、体内の疾患に起因しています。
① 消化器系の疾患
- 胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などにより、胃からガスが逆流して口臭を引き起こします。
② 呼吸器系の疾患
- 肺炎や気管支炎、副鼻腔炎(蓄膿症)などで発生した膿が、口臭の原因になります。
③ 糖尿病
- ケトアシドーシスという状態になると、血中のケトン体が増加し、甘酸っぱい臭いが発生します。
④ 肝疾患・腎疾患
- 肝不全ではアンモニア臭、腎不全では尿毒症臭が口臭として現れることがあります。
4. 食生活・嗜好品
① 食べ物由来の口臭
- ニンニク、ネギ、玉ねぎ、アルコールなどは、消化・吸収された後に血中を巡り、肺から排出されることで口臭を引き起こします。
② タバコ
- ニコチンやタールが口腔内に付着し、悪臭の原因になります。また、タバコは唾液の分泌を抑制するため、口臭が悪化します。
③ アルコール
- アルコールは体内でアセトアルデヒドに分解されます。この物質は強い臭いを持っており、呼気に混ざって排出されます。
口臭を防ぐための対策
- 口腔ケア:歯磨き、フロス、マウスウォッシュの使用
- 舌苔の除去:専用の舌ブラシで清掃
- 唾液の分泌促進:水分補給やキシリトールガムを噛む
- 定期的な歯科検診:口腔内トラブルを早期に発見
- 生活習慣の改善:禁煙、適度な飲酒、バランスの取れた食事
口臭が気になる場合は、歯科や内科の受診を検討し、適切な治療を受けることが重要です。