AGAの薬物治療

AGA(男性型脱毛症)の薬物治療には、主に以下の2つのアプローチがあります:

  1. DHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する薬
  2. 血流を促進する薬

それぞれの治療法について詳しく解説します。


1. DHT抑制薬

DHTは男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという酵素の作用で変換される物質で、AGAの主な原因とされています。DHTが毛根の毛包に作用すると、毛根が縮小して毛周期が短縮し、最終的には髪が細く、短く、薄くなっていきます。これを抑制する薬がフィナステリドデュタステリドです。

フィナステリド(商品名:プロペシア、フィナステリド)

  • 作用:5αリダクターゼタイプIIを抑制し、DHTの生成を減少させる。
  • 効果
    • AGAの進行を抑制し、脱毛を減少させる。
    • 一部の人には発毛効果も見られる。
    • 服用後3~6ヶ月ほどで効果を実感することが多い。
  • 副作用
    • 性欲減退、勃起不全、精液量の減少などの性機能に関する副作用。
    • 一部の人では気分の落ち込みやうつ症状を感じることがある。
    • 女性(特に妊婦)には使用を避けるべき薬です。

デュタステリド(商品名:ザガーロ、アボダート)

  • 作用:フィナステリドよりも強力に5αリダクターゼを抑制し、タイプIとタイプII両方の5αリダクターゼに作用します。
  • 効果
    • DHTの生成をより効果的に抑制し、発毛効果が高いとされています。
    • フィナステリドと同様、3~6ヶ月で効果を感じることが多い。
  • 副作用
    • フィナステリドと同じような性機能に関する副作用が発生する可能性があります。
    • 妊婦には絶対に使用を避けるべきです。

2. 血行促進薬

血流を改善することによって毛根への栄養供給を促し、髪の成長をサポートする薬があります。代表的なものがミノキシジルです。

ミノキシジル(商品名:リアップ、ロゲイン)

  • 作用:血管拡張作用があり、血流を促進して毛根に栄養が届きやすくします。さらに、毛母細胞の働きを活性化させ、髪の成長を促進します。
  • 効果
    • 頭皮の血行を改善し、髪の成長を促進。
    • 使用開始から1~2ヶ月で毛髪の質や密度に変化が現れ始め、3~6ヶ月で発毛効果を実感することが多い。
    • フサフサとした髪の毛を育てる効果が期待されますが、完全に髪を再生させるわけではありません。
  • 副作用
    • 初期に一時的な脱毛(shedding)が見られることがあり、これは新しい毛髪の成長を促進するために一時的に古い毛髪が抜ける現象です。
    • 頭皮のかゆみや乾燥、炎症、フケが生じることがあります。
    • ごくまれに、顔のむくみや不整脈が報告されています。

3. その他の治療法

低用量ピル

  • 作用:女性のAGA治療に使用されることがあります。ホルモンバランスを整え、DHTの生成を抑制することにより、女性型の脱毛症(FAGA)にも有効です。

育毛メソセラピー

  • 作用:毛根に直接、成長因子やビタミン、ミネラルを注入して髪の成長を促す治療法です。AGAの進行を遅らせることが期待されます。

4. 効果の持続

薬物治療の効果を維持するためには、継続的な使用が重要です。治療を途中で中止すると、AGAの進行が再開し、治療前の状態に戻ることが多いです。また、薬物治療の効果は個人差があるため、医師と相談しながら適切な治療法を選ぶことが重要です。


まとめ

AGAの薬物治療には、DHTの生成を抑制する薬(フィナステリド、デュタステリド)と血行促進薬(ミノキシジル)が主に使用されます。どちらも効果的ですが、副作用も考慮する必要があり、医師と相談しながら治療法を決定することが重要です。また、効果を維持するためには治療を継続的に行うことが大切です。

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