細菌性食中毒は、食中毒の中でも最も一般的なタイプの一つで、細菌が食べ物や水に増殖することで発生する疾患です。以下に、細菌性食中毒の種類、症状、原因食品、予防方法などを詳しく解説します。
細菌性食中毒とは?
細菌性食中毒は、病原性細菌が食品中で繁殖し、細菌そのものまたは細菌が産生した毒素(エンテロトキシンなど)を摂取することで起こります。加熱不十分な食品や、常温で長時間放置された食品が主な原因です。
主な細菌と特徴
細菌名 | 潜伏期間 | 主な症状 | 原因食品 | 特徴 |
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サルモネラ属菌 | 6〜72時間 | 発熱、腹痛、下痢、嘔吐 | 鶏卵、生肉、生レバー | 加熱不足の鶏卵・鶏肉に多い。加熱で死滅。 |
カンピロバクター | 2〜5日 | 発熱、腹痛、水様便(時に血便) | 加熱不足の鶏肉 | 非常に少ない菌量で発症。ギラン・バレー症候群の原因にも。 |
腸管出血性大腸菌(O157など) | 3〜8日 | 激しい腹痛、血便、発熱 | 生肉、生野菜、汚染水 | 毒素(ベロ毒素)による合併症(溶血性尿毒症症候群)あり。 |
黄色ブドウ球菌 | 30分〜6時間 | 吐き気、嘔吐、腹痛 | おにぎり、サンドイッチ、菓子パン | 毒素型。手指の傷などから菌が混入。毒素は加熱しても分解されにくい。 |
ウェルシュ菌 | 6〜18時間 | 軽度の腹痛、下痢 | カレー、シチューなどの大量調理食品 | 酸素を嫌う菌。加熱後の常温放置で増殖。 |
腸炎ビブリオ | 4〜96時間 | 激しい腹痛、下痢、発熱 | 生魚、刺身、寿司 | 海水に存在。真水で洗う、低温保存が重要。 |
症状の傾向
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吐き気・嘔吐:黄色ブドウ球菌、サルモネラ
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下痢(血便含む):O157、カンピロバクター
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発熱:サルモネラ、カンピロバクター
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軽症だが集団発生しやすい:ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌
感染経路
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食品中での菌の増殖(常温放置など)
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汚染された手指や調理器具からの感染
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交差汚染(生肉→野菜など)
予防法(5原則)
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清潔(Clean):手洗い、調理器具の洗浄・消毒
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分離(Separate):生肉と他の食品を分けて保管・調理
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加熱(Cook):中心部を75℃以上で1分以上加熱
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保存(Chill):10℃以下で保存し、長時間の常温放置を避ける
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安全な水と食材の使用(Safe source)
治療
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多くは対症療法(水分・電解質補給など)で自然に回復
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重症例(O157や高齢者・乳幼児)は医療機関での治療が必要
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抗生物質は病原菌によっては使用が逆効果になることも(O157など)
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