ポスト・フィナステリド症候群(PFS)に関する最新の研究動向と国際的な対応状況について、詳しくご紹介します。
最新の研究動向(2024年〜2025年)
1. 遺伝的要因の研究
フィンランドのタンペレ大学では、PFSの発症に関与する可能性のある遺伝的要因を調査する研究が進行中です。この研究では、PFS患者150人と健常者の全ゲノム解析(Whole Genome Sequencing)を行い、特定の遺伝子変異がPFSの発症に関連しているかを調べています。 (PFSNetwork.org)
2. エピジェネティックなメカニズムの解明
ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン大学医療センターの人類遺伝学研究所では、PFS患者におけるアンドロゲン受容体(AR)の遺伝子発現異常やクロマチン構造の変化など、エピジェネティックな要因を調査する研究が行われています。この研究は、PFSの病態メカニズムの解明と将来的な治療法の開発に寄与することが期待されています。 (PFSNetwork.org)
3. 臨床的および遺伝的特徴のケーススタディ
2022年の研究では、20〜30歳の若年男性3人のPFS患者を対象に、臨床的および遺伝的特徴を分析しました。これらの患者は、勃起不全、不安、孤立感、不眠などの症状を示し、CA8、VSIG10L2、HLA-B、KRT38、HLA-DRB1などの遺伝子変異が検出されました。これらの遺伝子は、PFSのリスク因子である可能性が示唆されています。 (PubMed)
国際的な対応状況
1. 欧州医薬品庁(EMA)の調査
2024年10月、欧州医薬品庁(EMA)は、プロペシア(フィナステリド)などの脱毛症治療薬に関連する自殺念慮のリスクについて調査を開始しました。この調査結果により、これらの薬剤の販売中止やラベル変更などの措置が検討されています。 (Reuters)
2. 米国食品医薬品局(FDA)の警告
2025年4月、FDAは、アメリカでは未承認の外用フィナステリド製剤に関して、勃起不全、不安、脳の霧(ブレインフォグ)などの持続的な副作用のリスクがあると警告を発しました。特に、オンライン診療を通じて処方されるケースが増加しており、医師との十分な相談がないまま使用されることへの懸念が示されています。 (Health)
3. 日本の対応
2023年8月、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、フィナステリドおよびデュタステリドに関連する自殺念慮のリスクについて、情報提供を行いました。これにより、医療従事者や患者への注意喚起が強化されています。
その他の国際的な動向
- スウェーデンでは、2008年にフィナステリドのラベルに持続的な性機能障害のリスクを追加するよう義務付けられました。
- フランスの医薬品安全庁(ANSM)は、フィナステリド1mg製剤に関して、精神障害や性機能障害のリスクについて長年懸念を示しており、2024年には欧州医薬品庁に通知を行っています。 (pfsfoundation.org)
まとめ
PFSに関する研究は、遺伝的要因やエピジェネティックなメカニズムの解明など、多方面で進行中です。また、各国の規制当局もPFSのリスクに対する対応を強化しており、患者や医療従事者への情報提供が進められています。今後の研究成果や規制の動向に注目が集まっています。
投稿 ポスト・フィナステリド症候群に関する最新の研究動向 は メプラス - MEPLUS に最初に表示されました。